小田原市立病院リサーチ

我々は臨床、教育、研究の三本柱をどれも重要と考えております。現在、小田原市立病院で行っている臨床研究の概略を紹介します。

FRAGILE-HF study

心不全の患者様に対する全国多施設共同研究です。退院時に、患者背景因子、運動機能、虚弱に関する指標を調査し、1年後と2年後の予後を調査しています。

脳卒中急性期リハの量について

オーストラリアのSCUにおいては、下肢の運動量の増加が歩行機能を改善させることが報告されている。脳卒中のリハは急性期から量が求められていると思われる。当院では、現在の運動量を調査し、理想と現実の違いを確認するところから始めている。

人工呼吸器装着患者の早期離床の適応と効果について

人工呼吸器装着患者の早期離床の効果が多数報告されている。一方、それらの報告の適応を考えると、実際の臨床ではもう少し重症例も適応があると考えられる。当院では離床の適応を独自に作成し、その安全性や効果を検証しているとともに、集中治療室に準専従の理学療法士を配置する試みを行っている。

心臓外科手術後の咳嗽力

術後の喀痰困難は呼吸器合併症のリスクになる。そのため、術後の咳嗽力の推移に関して調査するとともに、咳嗽力を高める方法に関して調査・研究を行っている。

ARCR後の臨床成績に関わる因子の検討

ARCR後の臨床成績の評価としてShoulder 36を評価している。また、shoulder 36をメインアウトカムとし、可動性、筋力、疼痛などとの関連性を検討している。

THA術後の評価

THAの手術は低侵襲化しており、筋力の回復が早くなっている。入院中の筋力を調査し、当院のデータを報告した。今後は、筋力以外の評価を行うことを検討している。

嚥下障害患者の抵抗力の評価

嚥下障害患者の抵抗力の評価として随意的な咳の強さが重要であることがわかっている。当院では嚥下障害患者の咳の強さを評価し、誤嚥性肺炎のリスクの層別化のフローチャートの作成や適切な治療介入の方法を検討している。


小田原市立病院 業績

【論文】*2009年以降の論文、学会発表などを紹介します

 

  1. 【原著論文】小澤哲也, 松永篤彦,忽那俊樹,松嶋真哉,小林主献,松沢良太,逸見房代,高木裕,本橋佐知子,吉田煦,増田 卓. 維持血液透析患者の移動動作時の自覚的困難さに注目した疾患特異的移動動作評価表の開発運動療法の効果に対する反応性の検討―.日本透析医学会雑誌201043(6)515-522.
  2. 【短報】小澤哲也,佐藤隆一,大山由廉,小池和幸,木村美枝,大澤貴子,勝俣勲,兵頭昌樹,野寄浩司.前方侵入法による人工股関節全置換術後の股関節外転筋力と膝関節伸展筋力回復推移の特徴.理学療法―技術と研究― 20154349-52
  3. 【原著論文】小澤哲也,佐藤隆一,野寄浩司.自宅退院後の在宅運動療法により運動機能が改善した大腿骨頸部骨折術後の一症例.Hip Joint 201541240-244
  4. 【原著論文】佐藤隆一,小澤哲也,鈴木宙,野寄浩司.Direct anterior approachによる最小侵襲人工股関節全置換術後の筋力回復推移.Hip Joint2015; 41: 248-251
  5. 【短報】小澤哲也,野寄浩司.前方侵入法による最小侵襲人工股関節全置換術後の筋力回復推移-高齢者と壮年者の比較‐.理学療法―技術と研究― 2017; 45: 65-68
  6. 【研究論文】小澤哲也,齊藤正和,安達裕一,堀健太郎,上脇玲奈.入院期高齢心不全患者に対する入院早期からの歩行開始の安全性と効果 ~クリニカルシナリオ12群の患者に対する検討~.理学療法技術と研究―2017; 45: 57-64
  7. 【短報】中村彩菜,小澤哲也,新山祐貴,布施勇貴,柳川直望,大山由廉,佐藤隆一,山中祐路,高橋真由子,霜田直史.当院における急性期脳卒中患者のリハビリテーション実施単位数とFIM効率の関連について.理学療法ー技術と研究―2018:46:75-78
  8. 【調査】小澤哲也,中山滋,柳川直望,新山祐貴,布施勇貴,佐藤隆一,霜田直史,居山伊久子,真壁早霧, 北 仁美,細川沙椰,野寄浩司.大腿骨近位部骨折症例における入院中の肺炎発症の危険因子の検討.理学療法技術と研究―20184579-83

【学会発表】

  1. 小澤哲也,小池和幸,木村 美枝,大澤 貴子,勝俣勲,佐藤隆一,江端広樹.座位保持能力に注目した急性期脳血管障害患者の歩行予後予測―年齢、運動麻痺を予測指標に加えることで予測精度が向上する―.第48回全国自治体病院学会(全国自治体病院学会プログラム・抄録集 DVD),2009.11.12-13:川崎.[ポスター発表]
  2.   小澤哲也, 木村美枝, 小池和幸, 大澤貴子, 勝俣勲, 佐藤隆一.急性期リハビリテーションを終了し, 自宅退院した大腿骨近位部骨折患者の退院時運動機能の特性について.東日本整形災害外科学会雑誌 22(3): 445-445, 2010
  3. .   小澤哲也,大山由廉,佐藤隆一,小池和幸,大澤貴子,勝俣勲,兵頭昌樹,野寄浩司.高齢人工股関節全置換術(THA)後患者と壮年THA後患者の入院中の術後筋力回復推移の比較.第33回関東甲信越ブロック 理学療法士学会(2014年、千葉)
  4.   小澤哲也,佐藤隆一,鈴木宙,野寄浩司.自宅退院後の在宅運動療法により運動機能が改善した大腿骨頸部骨折術後の一症例.第41回日本股関節学会学術集会(2014年、東京).抄録集p503
  5. 小澤哲也,兵頭昌樹.急性腎機能障害を合併した重症心筋梗塞患者に対する社会復帰に向けた前期回復期の心臓リハビリテーション.第34回関東甲信越ブロック 理学療法士学会(2015年、甲府)
  6. 小澤 哲也,兵頭 昌樹,野寄 浩司.片脚スクワット時に膝関節前面痛を訴える外側半月板切除術後の一症例 膝屈伸筋力比と骨盤の後傾に着目して.第33回神奈川県理学療法士学会(2016年、神奈川)抄録集p 46
  7. 小澤哲也,佐藤隆一,兵頭昌樹,柿﨑良太,弓削大,川口竹男,齋藤正和.自宅退院へ向けて運動療法を実施した門脈肺高血圧症の一例.第22回日本心臓リハビリテーション学会学術集会(2016年、東京)
  8. 小澤哲也,大山由廉,新山祐貴,小松里絵,布施勇貴,佐藤隆一.洗濯物干し動作時の右肩の疼痛が残存している鏡視下肩腱板修復術後症例.第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会(2016年、神奈川)
  9. 中村彩菜,小松里絵,中山 滋,大山由廉,小澤哲也,新山祐貴,布施勇貴,柳川直望,佐藤隆一.脳梗塞発症後に重度右片麻痺を呈し,起き上がり動作の再獲得を目指した症例.第4回小田原リハビリテーション研究会症例報告会.(2016年,小田原)
  10. 布施勇貴,中村彩菜,中山 滋,新山祐貴,小澤哲也,大山由廉,柳川直望,佐藤隆一.両側後大脳動脈領域の脳梗塞により皮質盲を呈した症例‐脳の残存機能を活用したアプローチを中心に‐.第4回小田原リハビリテーション研究会症例報告会.(2016年,小田原)
  11.   小澤哲也,佐藤隆一,大山由廉,中村彩菜,中山滋,柳川直望,霜田直史,石川智啓,畠田和嘉,弓削 大,齊藤正和,川口竹男.胸骨正中切開による心臓外科手術後患者の咳嗽力の障害と創部痛について.第23回日本心臓リハビリテーション学会学術集会.(2017年,岐阜)
  12. 小澤哲也,佐藤隆一,大澤貴子,鈴木勇佑,大山由廉,中村彩菜,新山祐貴,布施勇貴.人工呼吸器離脱前後に理学療法士や作業療法士が関わる意義とその役割について-3症例のケーススタディー-.神奈川県県西地区リハビリテーション連絡協議会主催 第6回リハビリテーション症例報告会(2017年,小田原)
  13. 小澤哲也,守田誠司,澤本徹,石塚久美子,白石尚子,村山ゆかり,岸本美保,川口留佳,佐藤隆一,大澤貴子,大山由廉,中村彩菜,霜田直史.当院における人工呼吸器装着患者に対する離床プログラムの安全性―リスクの層別化と呼吸循環応答―.第36回関東甲信越ブロック理学療法士学会.(2017年,長野)
  14. 中村彩菜,小澤哲也,新山祐貴,布施勇貴,大山由廉,中山滋,柳川直望,佐藤隆一,霜田直史,山中祐路,高橋真由子.当院における脳卒中急性期患者のリハビリテーション実施単位数の現状とFIM 効率の関連について.第36回関東甲信越ブロック理学療法士学会.(2017年,長野)
  15. 佐藤隆一,中山滋,大山由廉,小澤哲也,霜田直史,黒木隆行,関川且行.低身長・低体重児の運動発達遅滞に対する装具療法~骨盤帯長下肢装具・角度調節付き継手カバーの試作~.第36回関東甲信越ブロック理学療法士学会.(2017年,長野)
  16. 急性期から160分以上の理学療法を実施した左視床出血の一症例~運動量を増やすことによって付加的な効果は得られるのか?~.小澤哲也,松本美香,小見山美樹,中山滋,霜田直史.県西地区リハビリテーション連絡協議会、第7回症例報告会(2017年,神奈川)
  17. 小澤哲也,大山由簾,佐藤隆一,中村彩菜,鈴木勇佑,霜田直史,大石隆幸,野寄浩司.鏡視下腱板修復術後6ヶ月と12ヶ月における日常生活で困難さを感じる動作の特徴について~患者立脚型肩関節評価法Shoulder 36を用いた検討~.第93回理学療法科学学会学術大会(2018年,神奈川)
  18. 小澤哲也,澤本 徹.PaO2/FiO2比が200未満の人工呼吸器装着患者に対する離床時の呼吸循環応答と安全性の予備的研究.第45回日本集中治療医学会学術集会(2018年,千葉)
  19. 大山由簾.肩腱板広範囲断裂保存療法例~残存機能の探索~.県西地区リハビリテーション連絡協議会.第8回症例報告会(2018年,小田原)
  20. 小澤 哲也,松本 美香,中村 彩菜,佐藤 隆一,霜田 直史,弓削 大,齊藤 正和,川口 竹男.握力は入院期高齢心不全患者における退院時の歩行速度低下を予測する有用な指標となる.第35回神奈川県理学療法士学会(2018年,神奈川)
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